福建泉州地域の寺廟・宗祠調査報告 ―王爺および観音信仰を中心に―


一、はじめに

 2011年12月27日から2012年1月2日までの7日間、中国福建省泉州地域の実地調査を行った。今回の調査の主なテーマは、以下の通り。

1.泉州と台湾の地域宗教文化の比較―持続と変容、断絶

 1-1.鹿港の施氏

 1-2.王爺祭祀

 1-3.媽祖とその他の祭祀

 1-4.祠堂

 1-5.台湾との往来の現況

2.村落祭祀と演劇

3.宗教文化の現況

ここでは、特に触れる機会の多かった王爺および観音信仰を中心として調査報告を行う。

二、参加者

 野村伸一(代表)、鈴木正崇、馬建華、呉慧穎、山田明広、藤野陽平

三、行程 

1日(1227日) 

日本より泉州に到着。夜、先に到着した山田以外のメンバーにより閩泉郡南門外林口にある祈安堂(主神は普庵護国大徳菩薩、写真1-2)にて梨園戯(写真3)の調査を行った。旧暦11月26日が普庵の誕生日(当日が旧暦12月3日)にあたるため、数日かけて戯劇を行っている。本地は台北の林口の出身地で、インドネシアを中心に歴史的に華僑を多く輩出、現在の人口は5千人ほどの村であるが、これまで10万人ほどの華僑を送り出したという。

第2日(12月28日)

まず、台湾鹿港の施氏の故地であり、施瑯などの著名人を輩出した晋江市龍湖鎮衙口村へと赴き、施氏関連の宗祠や現地の王爺廟を中心に①施瑯記念館(写真4) → ②潯海施氏大宗祠(破壊されていたが2010年に再建開始、2011年に完成) → ③福霊殿(主神、王王府写真5) → ④潯海施氏大宗祠付近の家廟(写真6) → ⑤南潯郷施氏館(写真7) → ⑥定光庵(南宋開禧年間(1205-1207)ごろ創建、写真8,9) → ⑦鎮南殿(南堡番王爺府、清代末期に東館より分炉、2008年11月再建、写真10)→ ⑧三夫人(写真11)をこの順に調査して回った。

 

01祈安堂

01祈安堂

02普庵護国大徳菩薩

02普庵護国大徳菩薩

03梨園戯

03梨園戯

04施瑯記念館・潯海施氏大宗祠

04施瑯記念館・潯海施氏大宗祠

05福霊殿

05福霊殿

06潯海施氏大宗祠付近の家廟

06潯海施氏大宗祠付近の家廟

07南潯郷施氏館

07南潯郷施氏館

08定光庵

08定光庵

09定光庵

09定光庵

10鎮南殿

10鎮南殿

11三夫人媽館

11三夫人媽館

 ①②施琅宅は晋江市龍湖鎮衙口村に位置し、清の康熙26(1687年)に施琅が台湾を平定して、この地に戻った後建築された。施琅は1683年に福建省より台湾を平定した将軍。施琅記念館は福建省国防教育基地に認定されている。施氏大宗祠は明の崇禎13(1640)年に建造、清朝の順治18(1661)年に壊れたが、康熙丁卯(1687)年に施琅が再建。1991年4月、第二批県級文物保護単位に認定。

第二に、晋江市深滬鎮華峰村へと移動し、十二王爺(池・劉・徐・范・魏・蕭・趙・許・林・施・李・楚姓の王爺)を主神とする鎮海宮(写真12)を調査した。かなり規模の大きな廟で、王爺以外にも地獄関係の神など多くの神が祭祀されていたが、鎮海船公として王船(写真13,14)を専用の堂内に祭祀してあるのは特徴的であった。2000年12月文物保護単位、2007年6月晋江市四批文物保護単位に認定されている。

12鎮海宮

12鎮海宮

13

13

14王船

14王船

 

第三に、晋江市金井鎮南江村(=南沙崗)へと移動し、①南天宮(大房頭六姓王府、写真15)→ ②大房頭水陰公(写真16) → ③南沙崗天后宮(写真17)を調査した。南天宮(大房頭六姓王府)は鹿港施姓角頭廟である「潤沢宮」の王爺の出所となっている廟であるが、聞き取りによれば、この前に訪問した晋江深滬鎮の鎮海宮および第6日(1月1日)に訪問する晋江東石鎮の鎮江宮もこの廟から流した瘟船が漂着したことにより建てられた、この廟を祖廟とする廟であるという。

最後に、1日目と同様、閩泉郡南門外林口の祈安堂にて梨園戯を調査した。

15南天宮

15南天宮

16大房頭水陰公

16大房頭水陰公

17南沙崗天后宮

17南沙崗天后宮

 

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これまでのコメント

  1. 朝敦 より:

    こんばんは。たまたま検索でヒットし、大変懐かしいものを拝見させていただきました。有難うございます。衙口村に二度もいらっしゃったわけですか。故郷です。自分は来日して17年、一番最近の衙口帰省は。。。三年以上前でした。その時は故居の新築は完成したばっかりで外垣の門はまだできておりませんでした。写真32番忠義殿の後ろに写っているのがそれです、門も完成でしたね。帰りたくなってきましたよ。。。また今度じっくりと拝読させていただきます。それでは、お休みなさい。

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