台湾の王爺信仰とその祭典―台湾南部地域の王醮を例として―(発表要旨)


(2011年12月17日に実施された第4回「東方地中海基層文化研究」研究会にて発表)

 一口に「王爺」といっても、台湾には少なくとも戯神系、家神系、英霊系、鄭王系、瘟王系の五系統の王爺が存在し、このうち瘟王系の王爺はさらに暗訪王爺系、十二瘟王系、五瘟使者系の三系統に分けられる。そして、三年に一度など定期的にあるいは不定期的にいわゆる“王醮”という祭典が取り行われる場合、これらのうちの十二瘟王系の王爺が客王として廟へと請来され、天すなわち玉皇大帝の代わりに管轄区域を巡察してもらって(=代天巡狩)区域の災厄や疫病などを一掃してもらい、その後、この王爺は一掃された災厄や疫病などとともに王船と呼ばれる船に乗せられて王船ごと焼かれ(=焼王船)、再び送り出される。

本報告は、まず、①台湾の王爺にはいかなる種類のものが存在し、それぞれいかなる特徴を有し、また何を起源としているのか解説する。次に、②台南地区における王爺廟の分布と変遷について考察し、その後、③王爺の別称ともなっている“代天巡狩”についてその歴史的意義を踏まえつつそれがいかなるもので、いかなる機能を有するのか説明する。そして、④王爺の祭典として主として台湾南部地域で盛んに行われ、台湾南部地域の王爺信仰の代名詞とさえなっている王醮(迎王祭典)を取り上げ、その意義や効能、地域差、付随する儀礼(道教の建醮、王府の儀礼)について具体例を挙げつつ解説し、最後に、その中でも特に⑤送王船についてその意義や効能、歴史的変遷について考察する。本報告では、これらを通して、台湾、特に台湾南部地域の王爺信仰およびその祭典がいかなるものであるのか概観したい。